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ガチャ
「どちら様?」
と軽いトーンで聞こえる…恐怖で下を向いてしまって顔が見れない。
「叶井海青か?」
奏多が普通に話しかける。
この人教室で空気のような存在だったから同じ人見知りだって勘違いしてた。
「そだよーあ、同じ学校の制服着てる。お見舞い?」
「ちげぇよ、おい下向いてねぇで渡したい物があんだろ?」
「う、うん…あのさ、同じクラスの花村咲月…この紙を担任に渡すように言われて…」
私は声を振り絞って何とか内容を伝えた。
「ふぇー、あ、そなの?せっかくだから中入ってよ。」
「え、あ、その、届けに来ただけなんで」
「お邪魔する」
奏多がさっさと中へ入ってしまった。
「ちょっ…えー…」
「そこの君も早く入ってよ、腕痛くなってきた」ドアを開けて待っててくれた海青の手が少し震えて
罪悪感で「は、はい」 とさっさと中へしまった。
中へ入ると少し物が散乱していたが足の踏み場には支障はなかった、
部屋は洋風の作りで廊下を少し進むとリビングに辿り着いた。
入ってすぐの処に大きめのコルクボードがありそこにはたくさんの猫の写真が飾られていた。
あまりにも可愛くて気付いたらその写真を眺めていた。
「可愛いでしょー」楽しそうに言ってる時海青の顔を初めて見た。
驚きだ。
肩まで伸びた綺麗な黒髪に美しい顔立ち。
「何で学校来ないんですか?」
不意に質問してしまった。
「んーそれはねー ひ♡み♡つ♡」と可愛らしく言う彼に奏多は舌打ちをした。
美しい顔立ちの彼とその言動のギャップに絶句してしまいそうになった。
奏多はリビングの中心にある四角の白いテーブルの近くに腰を落とし海青の言動にイライラしている様子だった。
「お菓子まだだったね♪はい、ぬるぬるぬるね!」
「それ客人に出す菓子じゃねぇだろ」奏多が堪らずツッコミを入れた。
すると彼は嬉しそうに
「お水はあっちね!」とキッチンの方に指を指す。
「あーもしかして苦手だった?美味いのに?」軽やかな口調で話を進めてく彼に奏多は右手に拳骨を作っていた。
もう…帰りたい…ってか、早速仲良さげじゃんこの2人。私だけ仲間外れ。スマホを弄り始めると海青は私を見て
「レイン交換しない?」
「は、はい?」
「僕さー友達少ないんだよ。やっとバイト代貯めてスマホ買ってレインダウンロードしたのにほら?」
そこにはハンバーガーの公式アカウントしか入ってなかった。
「マジかよ…」
「え…」
言葉は全く違かったが奏多と私の声が重なった。
海青が私らを見てヘラヘラ笑いながら「運命なんじゃない?付き合ったら?」なんて言い出し「ざけんな。こんな運命があってたまるかよ」と奏多が怒り出す。
「運命なんてどーでも良いからレイン交換しよーよ。運命なんてあるわけないじゃなーい。お子ちゃまなんだから〜」
「てめぇから言ってきたんだろーが」
私は彼らの痴話喧嘩(?)を見ながら眠りに付いた。何か…もういいや…
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