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目を開けるとお布団に横たわっており黄色い電気が付いていた。
ふと周りを見渡すと仏壇が端に見えた。
その写真には若い夫婦が映っていた。
「もしかして親なのかな…」
私は口を開くと
「まんまり見ないで貰えるかな〜」
と不機嫌そうに口を尖らせる海青がドアの前に立っていた。
「あ、あの、すみません。寝てしまったようで。い、今何時でしょうか…」
「19時だよ。」
「ええ、私そんなに…何で起こしてくれなかったのですか?」
「咲月ちゃんさ具合い悪そうだったじゃん。担任に無理言われて来たっぽいしなかなか寝られなくて可哀想に思ってさ、奏多には手を出すんじゃないかって疑われてもう大変だったんだけど」
彼は軽めのトーンで言った。
「あの、奏多くんは?」
「帰ったよ。てか帰した。夕飯とか用意してないし買いに行かせるのも良いかなって思ったけどね」
少し海青が微笑んだように見えた。
何と返したら良いか分からず間が空き
ふと、今日初めて会った男女がこのまま二人きりは流石に不味いと
「あの、帰ります…やらなきゃいけない事がありますし…」
「分かった!送ってくよ!咲月ちゃん一応女の子だしね」
一応って…彼にいちいち怒ってたらキリがないと思いそういうのはスルーする事に決めた
「ありがとうございます…でも家直ぐなんで大丈夫です。」
「コンビニ行くついでだから。咲月ちゃんの家通り道だし」
「あ、あ、ありがとうございます」
自分の語彙力の無さに情けなくなる。
ありがとうございますしか言えないとか…
布団から起き上がりバッグを片手に玄関へ向かう。
「お邪魔しました。」と会釈すると
「はいよ」とにこやかに海青が言った。
ドアを開けると外は真っ暗になっていて1人で帰ろうとしていた自分にチョップを入れたくなった。
こんなの1人で帰ったら恐怖で足動かなくなる。
部屋から靴を履いた海青が懐中電灯を持ちながら出てきた。
「何かホラゲ見たいだね」
とわくわくしている様子でかなり楽しそうだ
「そうですね。」
相槌を打つと歩き始めた。
暗闇の中階段を降りるのはかなり怖かったが海青が気を利かせて足場を照らしてくれた。
「お金がないからバイトする為に学校休んでたんですね」
先に話を切り出したのは私だ
私は不良が学校に飽きて来なくなったのかと思っていた。
それも私の学校はクラスに5人は不登校者や問題を起こし退学になってりしていて、少し荒れているような所だったからだ。
「まぁ、そんな感じかな。出席日数が足りなくても追試で高得点出せば何とかなるしこのまま高卒認定貰えば良いかなって」
もしかしてだけど海青ってかなり頭良いのかと困惑してしまったが何とか表情に出さず隠した。
「このままずっと来ないつもり何ですか?」
気を取り直して続けて言った
「うーん…さぁ?」
少し考えたようだが(さぁ?)で諦めたように見えた。
「ごめんね…質問攻めしてしまって。海青くんの事何も知らなくて…知りたいなぁって」
少し罪悪感が出たので謝った。
「奏多くんも海青くんの事知りたかったみたいで…」
と話を切り替えした
「ふぇー、僕の事好きなのかなぁ」とクスクス笑い出した。
話してる間に家に着き私は
「今日はありがとうございます。また、明日ね!」と口走り颯爽と家に入った。
やってしまった。
海青はバイトする為に学校休んでいるのに遠回しに学校に来いと言ってしまったのだ。
その言葉に追い詰められてなければ良いが…
彼の表情が分かればまだ…
すぐ家に入ってしまったから顔なんて見てなかったし
今日交換したレインで謝るってのもありだけど、どう謝ったら良いか分からない。
「まぁ、いいか」と呟きそのままベッドのある自室へ向かった。
遠回しの学校へ来いに海青が追い詰められるなんて有り得ない
何せあの幸せそうな子だ、大丈夫だろう
そう自分を宥めさせて目を閉じた。
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