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騒がしい朝
遅刻した。
昨日、そのまま眠ってしまったせいでお風呂に入るのを忘れてしまった挙句宿題をやるのも忘れまとめて朝にやったところ大遅刻。
猛ダッシュで学校に向かったのだがやはり無駄だった。
30分の遅刻だ。
学校に着くとすぐ職員室に向かい遅刻票を記入、そして教室へ。
授業はまだ始まってなかったが何やら騒がしく「海青くんが!?」「え、海青って誰?忘れたw」と海青くんの話題で持ちきりだった。
まさか、来てるの!?私のせいで…焦ってドアを開け周りを見渡して見る
「あ、あれ?」
海青くんの姿はそこにはなかった。
「咲月はよーどうした?キョロキョロして」
仲の良い友達、芽依が話しかけてきた。
金髪で目付きが悪くちょっと怖いが優しい人だ。
「芽依ちゃんおはよー、あのさ何で海青くんが話題になってるの?」
「んだって、アイツを学校で見たって奴が居たらしくてさ。そりゃ追試の日以外で来んのは珍しいし話題にもなるだろ」
大変な事をしてしまった。申し訳ない事をしてしまった。
昨日の不安が一気に頭に溢れてきた。
「謝らなきゃ…」
「は!?!お前海青に何かしたのかよ?」
ちょっと驚き気味の芽依
「分からない、けど多分私のせいだと思う…」
「おいおい…」
早池先生の独特な足音が聞こえみんな自分の椅子へ腰を落とす。
早池先生が教室に入った瞬間質問攻めにされていた。
「海青ってこれから来るの?」「ってか何で休んでたの?」「先生禿げた?」
早池先生は黙って教卓へ行き、
「静粛に静粛に…誰が禿げじゃまだ毛根生き生きしてるわ!」
ゲホンゲホンとわざとらしい咳をした後周りが静まるまで少し待っている様子だった。
「今日、遅れたのは話題になっている海青くんとお喋りをしてきたからです。内容はただの現状報告です。電話でも良かったのですが虐待等を受けてないか身体には問題ないか、学校側は生徒に勉強を教えるだけでなく身を守るのも大事な務め。だから来て貰いました。」
先生のその言葉に安心した。
だが、次の言葉でゾッとする。
「ですが、かなり具合い悪そうにフラついていたので無理矢理ですが只今保健室で休ませています。」
教室が一気に賑やかになった。
「アイツまだいんの?行ってみね?」「話すの緊張するけど覗くぐらいなら良いよね?」「何か噂で聞いたけどイケメンらしいよ?」「マジ?会いたい」「先生やっぱり禿げたでしょ!毛根生き生きしてる幻覚を見るなんて…シクシク」
うわぁ…ってか、何でそういうのバラすのかな海青くんが可哀想じゃんか…あの禿げ…じゃなかった先生…。
どうしようか、海青くんの事だから誰とでも馴染めそうだけど具合い悪いのにわちゃわちゃされちゃ誰だって気分が悪い。
昨日の重りは降りたけど海青が心配で堪らない。
「んじゃ、授業始めますわ」
早池先生のその言葉で海青くんの話は終わった。
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