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第12話
お互いに恥ずかしいところを見せ合う――。
キスより先の段階をアラタはそう言っていたけれど、いま僕は相当恥ずかしいことになっている。
下着を脱いだ途端に咥えられ、ソッコーでイかされてるんだから、なんかもう……最初からクライマックスの恥ずかしさだ。
「こんなん……もうお嫁に行けないっ!」
照れ隠しに大げさに嘆いてみせて、枕に顔をうずめた。
するとアラタが後ろから、割と真剣な声色で慰めてくる。
「大丈夫、先輩のことは俺が嫁に貰います! ってか、気持ち的には俺の方が嫁なんすけどね……」
「気持ち的には?」
そこが引っかかって枕から顔を上げると、アラタはのどの奥で笑いながら僕の背中に寄り添ってきた。
「先輩の男気に惚れてるって言ってんじゃないスか」
うなじにぶつかる、湿った吐息がくすぐったい。
「僕なんか全然。アラタの買いかぶりだって」
居たたまれない気持ちで言ってから、僕はあることに気がついた。
「…っていうかアラタ、さっきの飲んだでしょ!?」
自分の出したものの匂いは、嫌でも分かる。
「その口でキスしないでね?」
「えーっ、俺の嫁が冷たい……」
嫌だと言っているのに、アラタはその口で首筋を甘噛みしてきた。
「んっ、もう……結局言うこと聞かない」
「甘えてるんです」
「で、結局どっちが嫁なの?」
「気持ち的には俺だけど、物理的にはどう考えても先輩でしょー」
確信を持った口調で言われる。
「なんでそこまではっきり……」
「それはこのお尻が、めちゃめちゃ可愛いからです!」
後ろから浴衣の裾を捲られて、尻の肉をむにむにと触られた。
「……えっ、ちょっと!?」
下着はさっき自分で脱いでしまって、残りは浴衣1枚。すでに裸みたいなものだ。
「夕方、桔梗の間で先輩のここを触るまで、俺は上でも下でもどっちでもいいと思ってたんですけど……」
後ろから尻を揉みながら、アラタは熱く吐息を乱し始める。
「やっぱ、このお尻を堪能したい!」
「何それ、すごい……恥ずかしい」
僕が恥ずかしいというより、こいつのキャラが違うんじゃないかと思ってしまった。
普段はなんだかんだでイケメンポジションを崩さないくせに、僕のお尻なんかで興奮しているのかと思うとこっちが照れくさくなる。
「そんなに……僕のお尻がいいんだ?」
肩越しに聞いてみると、耳の後ろに切羽詰まった声がぶつかった。
「この尻以上に重要なものが……この世界にあるんでしょうか」
「ははっ……!」
笑っているうちに、尻の割れ目に硬い指先が滑ってくる。
「……あっ!」
ゾクゾクするものが、ふいに背筋を駆け抜けた。
「先輩……指だけ入れていいですか」
そう言われても経験がないから、それが楽なことなのかどうかも分からない。
「大丈夫ですから、ね?」
割れ目を探っていた指先が、もう少し奥へと割り込んできた。
そうして目指す窄まりは、すぐに探し出されてしまう。
「先輩の可愛いとこ見つけ」
アラタは息を乱しながら、そこへ爪先を差し入れる。
「あっ、やだ……んんっ!」
そしてこいつの熱に触発されるように、僕も興奮に包まれていった。
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