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1000年以上前
京の都
水無月
左大臣のたくさんいる寵姫の一人に美しい息子と娘がいた。
その姫はあだ名をるり姫と呼ばれていた。
左大臣は自分の娘達に優秀な式部や納言を付けて自分に敵対する貴族と結婚させていた。
天皇家でさえ次の世継ぎを誰にするかで揉めに揉めていたので、貴族の世界でもたとえ左大臣と言えども血で血を洗う権力闘争を避けて通ることは出来なかったからだ。
のちに平安時代と呼ばれることになるとは夢にも思えないほどの厳しい時代だった。
左大臣の姫君は10人以上いて、息子も同じだった。
左大臣の妹君は天皇家の正室である。
弘徽殿の女御様として皆にあがめられている。
るり姫はほんの小さな頃から弘徽殿の女御様のところへ会いに行っていた。
父である左大臣に連れて行かれていた。
「 るり姫や、貴方は特別に美しいから貴方も弘徽殿の女御様におなりなさいね。」
ずっと周りの人からそう言われて育った。
るり姫の目から見ても弘徽殿の女御様は大きく立派なお姿でそれはそれは美しかった。
下々のもの達にはお姿を拝見することは許さなれないが、るり姫は特別に可愛い姪っ子だから側に行くことを許された。
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