ハーメルンの煽動

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ハーメルンの煽動

 日本国中の話題は、この法律一色に染まった。  若手からは、批判の声が相次いだ。 「恋愛したら、銃殺とか、マジであり得ねえ」  とか、 「そんなこと、出来るわけねーだろ!!」 「逆に、オレが取り締まりに来たやつをぶっ飛ばしてやる!」  など、反抗的な声が相次いだ。  一方、恋愛中の男女は、反抗よりも「潜伏」を選択した。現在の彼氏彼女と引き裂かれることを恐れたのだ。  そして、そうした者を煽動し、積極的に「蒸発」を促す人物が現れた。  その者は、自らを「ハーメルン」と名乗った。  ハーメルンに煽動され「駆け落ち」する者が相次ぎ、恋愛中の男女が相次いで蒸発するという事態が多発した。  高圧的な姿勢を貫く政府は、ハーメルンに対して、傲慢な姿勢で対応する方針を明らかにした。 「この非常時に、全国民が一丸となって取り組むべきである。逆らうものは、容赦なく処分する」  声高に宣言するとともに、「自由恋愛取締特別高等警察」を組織すると発表した。  通称「自特高(じとっこう)」と呼ばれたこの武装組織は、全国民を震撼させた。
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