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翌日の登校時間 Aは、BとDの噂が、密かに学校で広まっているのを期待して、校門に向かう通学路を歩いていた。 だが、今日は、昨日と違い、生徒の皆がじろじろとAの顔を見ているような気がする。 中には、Aを見た瞬間、笑いをこらえたように赤い顔をし、足早に学校へ向かう生徒もいた。 昨日の馬鹿ないたずらをしたのが、自分だとバレたのではないか? 校則の厳しいこの学校では、二~三日は、停学かも。 そう思ったらAは、突然心配になった。 でも、Aは、あの時は、後先のことなんか考えていられないぐらいムカついたし、お似合いな二人の姿を見たら、吐きそうなぐらい気分が悪かった。 校門が近づくにつれ、Aは、二人に悪戯をしかけた優越感から、悪戯の代償に先生からお説教をくらう憂鬱な気分へと急転直下。 校門で、登校中の生徒に声をかける先生達の群れに、Aは、片目をつぶりながら、恐る恐る近づいたが、先生達は、にこやかに「おはよう」と、Aに声をかけてくる。 Aは、声も出ず慌てて返礼をし、逃げるように自分の教室へと向かう。 音を立てないように、自分の教室へ潜り込み、いつもの自分の席に座ると、やっぱりクラスメイトの皆の視線が痛い。 誰か何か言ってくれ。Aは、心の中で、絶叫する。 ちらっとBの机を見ると、机の上に教科書はなく、かばんは、あるもののまだ席についていない。 いつも自分より早く来ていて、授業の用意をしているのに。 Aは、Bの異変に、平静を装いつつ、かばんの教科書を入れようと、机の中に手を入れる。 あれれ、何これ。何もないはずの机の中に紙の感触。 思いっきり引き出してみると、かわいいクローバーの図柄の薄緑色の封筒。 裏には、Bの名前が書かれている。 (これって、ラブレターだよね?) うれしくなって、思わず口元がだらけるA。 「なにじっと見ているの?」 Aは、最悪の夜を過ごし、やっと気分が上向きになってきたこの時に、その元凶の今、一番聞きたくない良く知った声が、自分に問いかける。 この声は、親友のD。 「青かった顔が、突然赤くなったりして、おまけに、にやけたりして、気味が悪いよ。」 そう言っているDの顔の方が、Aを見て、にやけている。
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