第1節 常連客 桂場

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オフィス街とは違い、終電を回った遅い時間から混み出すのがこの地域の特性である。 その為、本来0時には店を閉めなければならないが、朝5時まで営業している違法店が殆んどだ。 昔はこの店もそのように営業していたが、いつだったか、とある変わった客が常連になる。その常連客のお陰で今は0時に閉めている。風営法に則ってもしっかりと利益を上げれる店舗となった。 時計の針を見る。針はもうすぐ23時を示す。 そいつはいつも必ず決まってその時間にやってくる。理由はわからない。そもそもそいつがやることなす事すべて、私には理由がわからない。そんな不思議な客に良い意味で、きっと良い意味で巻き込まれてしまった。 ガチャ…! 「おーい、蘭馬ぁー!」 いらっしゃいませー!と言う間もなく私の名前を呼ぶ。店に入った途端そんな馴れ馴れしく入ってくる客はそいつくらいだ。時間もジャスト23時。 「今日も元気そうだなぁ。」 なんて、呑気な事を言いながら店に入ってきた。 男の名は、桂場。
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