第1節 常連客 桂場

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青いスーツに赤いネクタイ、彼はいつも同じ格好で来る。私と同い年にも見えるが50代にも見える。はっきりと年齢を聞いたことはない。 私は彼の元へと行く。満面の笑みで私の方を見ている。どうやら上手くいったようだ。 「こないだの話、遂に上がってくれたぜ…」 そう言って彼は100万の束を20、私に手渡した。 「おい、こういうのは店を閉めてからにしてくれ。まだ他の客も、キャストだっている。」 「いいんだよ、借りたものは1秒でも早く返す、それが仁義ってもんだ。」 そう言って更に100万の束を1つ置いた。 「これがお前さんの取り分だ。」 私はそれを受け取り、彼は鞄の中から更に束をもう1つ置く。 「これはいつも通り使ってくれ。」 と言って店の客席の方に向かっていく。 空いた席に自ら座って煙草に火を着けた。 私は待機している女の子全てに声を掛け、ボーイにはドンペリ ロゼを5本用意させる。 彼による1時間限定の宴が始まるのである。
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