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青いスーツに赤いネクタイ、彼はいつも同じ格好で来る。私と同い年にも見えるが50代にも見える。はっきりと年齢を聞いたことはない。
私は彼の元へと行く。満面の笑みで私の方を見ている。どうやら上手くいったようだ。
「こないだの話、遂に上がってくれたぜ…」
そう言って彼は100万の束を20、私に手渡した。
「おい、こういうのは店を閉めてからにしてくれ。まだ他の客も、キャストだっている。」
「いいんだよ、借りたものは1秒でも早く返す、それが仁義ってもんだ。」
そう言って更に100万の束を1つ置いた。
「これがお前さんの取り分だ。」
私はそれを受け取り、彼は鞄の中から更に束をもう1つ置く。
「これはいつも通り使ってくれ。」
と言って店の客席の方に向かっていく。
空いた席に自ら座って煙草に火を着けた。
私は待機している女の子全てに声を掛け、ボーイにはドンペリ ロゼを5本用意させる。
彼による1時間限定の宴が始まるのである。
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