第5節 スポーツマン 桂場(後半)

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第5節 スポーツマン 桂場(後半)

最近、アルバイトが辞めたりといった理由でシフトが遅番になってしまったので、ジムへ行くのが夕方から朝の時間帯になっていた。 オーバーワークで倒れていた事をきっかけに話すようになった彼はちゃんとジムへ続けて通っているだろうか。 やっとこアルバイトが充足した為、早番に再び戻ってきた。夕方にジムへ行くのは約3ヶ月ぶりとなる。前と同じであれば私が帰る19時頃になると彼はやってくるはず。しかし、その時間になっても彼はやってこなかった。少し残念な気持ちで更衣室に向かったその時、あの頃とは比べ物にならない程引き締まった身体の彼が着替えていた。 「あなたは!」 「お久しぶりですね。」 笑顔で彼と握手を交わした。それから、この時間ジムに居なかった理由だったり、フットサルのことだったりと暫く更衣室で話し込んだ。 「今度良かったら、一緒にフットサルしましょうよ!」 もう自分から誘える程には体力は戻ってきたのだろう。体つきを見れば一目瞭然だが。 「そう言えば、前回聞こうと思って忘れちゃってたんですけど、名前をまだお互い知らないですよね!」 自信が付いたのか、何か3か月前と比べて明るい雰囲気になった彼が名前を聞く。確かに顔は知っているが名前は聞いていなかった。 「私は、蘭馬と言います。あなたは?」 「俺は竜馬です。何だか似た名前ですね。フットサルは毎週土曜日なので、来れるタイミングがあれば教えて下さい!」 「シフトを確認してお伝えしますね。」 そんなやり取りをして久しぶりに合った彼との会話は幕を引いた。 自分の店を廃業して、バイト生活になってから、どうも何もない日々が続く。少しでもちょっとした刺激になってくれれば、私にとっては有難い。
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