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そんな様子にニヤニヤと笑みを浮かべたままで、紫月は器用にボタンを外す。
鎖骨から胸板、そして肩先を撫でながら、わざとらしくねっとりとした動作でシャツを剥ぎ落とす――
まるで蛇に睨まれた蛙のように硬直したまま動けない身体を後方からすっぽりと抱き包む。
素っ裸に剥いて尚、まだその下に素肌が隠れているのかと思わせる程に、強く激しく吸いちぎるかのように撫で回す。
誰も居ない二人きりの部屋の中――耳元を侵すのは、まるで強く激しく求めるような荒く興奮した息遣いだけだ。
「……よせ……」
「……は! よせるわけ……ねえだろッ……今ここで? 冗談キツイね、相変わらずだ」
「……ッ、よせと言ってる……っ、……紫月……ッ!」
鎖骨、首筋、胸、背骨、腹――と、互いの肌と肌がまぐわる箇所から次々と――、終いには身体中が流砂に呑まれてしまうような感覚に引きずり込まれていく。
「客はいつか俺に飽きる。飽きて通わなくなれば、俺はその客の持ち物じゃなくなるんだ」
「……ッ…………あっ……」
「でもお前は違うだろ? お前が解雇なければ俺はずっとお前のもんだ。ずっと――ずっと永遠にお前だけのもんだろ?」
「バ……カ……野郎……が――!」
拒みたいのか、求めたいのか、考える余裕もないくらいに乱したくなる、乱されたくなる。
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