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チームますらお
まずマルコ・ポーロの事だ。
彼はルンパウンパの労働者を大量に雇い、豆大福工場を建設した。
森の中でハンターとして生活していた彼らは、腕のいい和菓子職人でもあった。
「おかしいなー、僕の番組は旅行番組のはずなのに……」
あの世で放映されている彼の番組は、「世界の〇窓から」のように、地味ながら多くの人間に愛される長寿番組のはずだった。
が、いつの間に「川〇探険隊」のような番組になったのかわからない。
また、彼の豆大福工場には、小学校の子供たちが社会科見学に来ていた。
「おい、あれ何だよ、くっちゃくちゃ」
ガムをかみながらマルコ・ポーロに質問する悪ガキ。視線の先では、マルコに雇われた悪の超人が、胸のローラーで豆大福の皮を仕上げている。
「行ってみればいいじゃん、ほれ。おー、ナイスローラー」
悪ガキは超人の「呪いのローラー」によって長く薄く引き伸ばされていた。まるでゴム人間だ。
「え、どうしてくれんだよ!って? いいじゃん、ダル〇ムみたいでかっこいいよ、ダイヤグラム一位だよ…… え、ゴムゴムのピストル? おじさん知らない」
マルコ・ポーロの傍らにはアマゾンの奥地から連れ帰った金髪美女のエルザ(※全裸はまずいので、モザイクがかかっています)と、用心棒のオオカワウソが後ろ足で立っていた。
「あてんしょんぷりーず☆」
エルザ(※全裸なのでモザイク処理済み)はカメラに向かって微笑んだ。
*****
今夜も地獄プロレスが盛況だ。
義経と弁慶による「チームますらお」だが、項羽と呂布による「ディアボロズ」の猛攻の前に為す術なし。
「わかっているさ弁慶、最後まで潔く!」
義経は、仁王立ちして気絶している弁慶と背中合わせになると腕をからめて、抱き上げた。
「くらえー、平泉トレインー!」
義経、最後の攻撃。迎え撃つ項羽は余裕の表情だ。
が、彼の背後では呂布が試合中にも関わらず、食事していた。
「パゴ、パゴ」
「呂布!? それは虞の作った弁当……!」
項羽はパートナーの呂布が愛妻弁当を盗み食いしている様子に動転しーー
マジギレした。
「てめえー、このやろー!」
「ウメー、ウメー」
項羽と呂布、まさかの仲間割れ。その機を逃す義経ではない。
「平泉トレイン、ジ・エンドー!」
義経と弁慶の会心の一撃ーー
取っ組みあっていた項羽と呂布は、二人まとめて場外に吹っ飛ばされた。
共に百キロを越える二人がもつれあってリング下に落下したのだ。
その衝撃だけで、二人は気絶寸前、試合続行不可であった。
『けっちゃ〜あく! チームますらお、ディアボロズを撃破ー! 勝利の女神は、義経と弁慶に微笑んだ〜!』
兵どもが夢の跡………
*****
雪山で修行?に励んでいた十兵衛は、スキー初心者なのに上級者コースから無理矢理滑らされながら、なんとか生き延びた。
「に、二度とスキーはしない!」
息を乱した十兵衛。寒いはずなのに、スキーウェアの下にびっしょり汗をかいていた。
「無の境地、覚えたか!」
十兵衛の父、宗矩は厳かに問う。
どうやら彼の心理は、十兵衛を生死の境に放り込み、極限の集中力を発揮させる事にあったようだ。
「し、しかと充分に!」
十兵衛、気合いと共に答えた。やけっぱちだが、彼は火事場のくそ力を発揮させる事に成功していた。
今の十兵衛は生死を越えた境にいる。大きな力も、神妙な技も、彼をたやすく打ち破るのはできぬ。
「よし」
宗矩は珍しく微笑した。
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