ラリアットの名手

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ラリアットの名手

 まず初めにマルコ・ポーロの事だ。  彼は北海道へアイヌ人を探しに行ったのだが、連れてこられたのは熱帯雨林だった。 「おっかしいなあ〜、北海道って寒いって聞いたのに……」  戸惑いながらマルコ・ポーロは山刀(マチェット)を振るって襲い来る巨大昆虫を斬り捨てた。  そうして繁みをかきわけ進んだ果てに、彼は木の上で生活する小人族の集落へやってきた。 「アバシリさんですか?」  マルコ・ポーロは眼前の小人族の長にたずねた。丸い変顔をしたおっさんだ。彼は首を振った。 「おかしいなあ」  マルコ・ポーロは気づいていない。ここは北海道ではなく、人跡未踏にして伝説の秘境地だという事に。  今、彼の目の前にいるのは、アイヌ人ではなく、ルンパウンパなる小人族であった。ウンパ〇ンパではない、よく似ているが別の種族だ。 「……カカオ豆で働かない? え、小豆がいいの? 僕はこしあんが好みなんだけど」  マルコ・ポーロの冒険は続くーー    *****  でででーん でででーん  でーんでっでっでん  でーんでっでっでん  でーんでっでっでん(※BGM) “皆さんお待ちかねえ! 今夜も地獄プロレスのお時間がやってまいりました〜!”  古今東西、兵どもが夢の跡。  今夜リングに立つ兵は誰か?  張飛、許褚(きょちょ)共に190cm近い長身に、腕周り58cm。三國志中でも屈指のパワーファイターだ。 “あーと、許褚が張飛をロープに振ったあ! 返ってきたところに「虎痴(こち)ラリアット」炸裂〜!” 「ぶっはあー!」  リングに倒れた張飛だが、彼はすぐさま立ち上がって許褚と組み合った。 “あーと、張飛が許褚の巨体をリフトアップー! そして落としたー! どちらもすごーい!”  白熱する試合をよそに、柳生十兵衛は父宗矩や関口柔心、三船十段、武田惣角といった怖い面子に連れられてスキー場へ。  スキー初心者なのに、上級者コースへと連れてこられた十兵衛。急角度の坂を見下ろし絶句する。 「あの柵から出たら死ぬな」 「うむ」  関口柔心と宗矩はそんな話をしている。 「ほれ行け」  三船十段に背を押され、スキー板をはいた十兵衛は白き雪原へ飛び出した。 「どおおおおお!」  悲鳴を上げる十兵衛。彼はスキー初心者だ。意味もわからぬまま、急角度の雪原を滑走する。 (こんなところで死んでたまるかあ!)  十兵衛の本能は危機を回避するために、いや己の命を守るために全開になった。  曲がりかたすら知らぬまま、彼はスキー板とストックを操り、雪原を急滑降していく。 「死中に活あり!」  宗矩の叱咤激励は、果たして十兵衛の耳に届いたか。
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