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「なんであんたは毎日毎日こんな早くに来るのよ!」
なぜか怒られている。毎回思うけど、本当になんで僕が怒られているのだろうか?
この、突然魔法を暴発させたにもかかわらず、なぜか被害者(のはず)の僕に怒っている少女はフルート。
今日も威嚇中の鳥の羽のように、こんもりと盛られたブロンドヘアーが目に眩しい。
しかし、今日も燃えるように鋭く、力強い翡翠のような瞳は、直視すると眩しいどころか痛みを感じるようだった。
白磁のように透き通った肌の白さは、連日の農作業にも全く汚される様子がない。
上級貴族様ならではの方法があるのだろうか?
「いや、一番最初に教室にいれば、フルートと先生の喧嘩に巻き込まれないで、魔法を撃たれずに済むかな~と……」
ギロリと睨まれた。直視したら本当に目が潰れるかもしれない。
ついでに、そんな思惑も外れ続けている。
今日も始業一時間前だというのに、フルートに先を越されていた。そして、いつものように彼女の魔法の餌食となっていた。
「そ、そっちこそ、なんでそんなに毎日早くから来てるんだよ」
「それは、まあ、その……み、見てわかるでしょ!」
見てと言われても、いつも教室入る度に何かしらの魔法が発動しているだけだ。
そして毎回驚いてしまい、同じく毎度のように魔法が暴発する。そして傷を負う。毎回、僕だけが……
いつまでも悩んでいたからだろうか、フルートが少し顔を赤らめながら続きを話し始めた。
「魔法の自主練よ! じ、しゅ、れ、ん!」
なんと、まさかの練習だったとは……ということはつまり──
「毎日僕を練習台にしてたのか!」
「違うわよ!」
違ったらしい。
なら、なんで毎回僕に魔法をぶっ放しているのか尋ねると、
「あんた毎回大きな音を立てていきなり教室に入ってくるじゃない! それで、ちょっと驚いちゃって、ほんのちょ~っと魔法が暴発してるだけよ。つまり、全部あんたのせいなんだからね!」
知らなかった。実は僕が原因だったなんて……原因、なのか?
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