2反 始まりは稲妻と共に

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 目を覚ますとそこには知らない天井が広がっていた。  いつも寝泊まりしているおじさんの家とは違って、清潔感漂うほど真っ白な天井だ。  どこにいるのか確認しようと身体を起こそうとしたが、なぜだか全身が妙に痺れている。  そこまで考えた時に思い出した。  雷っぽいものに打たれたんだ。たぶんあの真ん中にいた女の子がおこした魔法の── 「あれが魔法か~」  今までに何度か遠くで魔法らしきものは見たことがあるが、ここまで間近に、しかも自分が受けたことはなかった。  おじさんに引き取られてから何年間経つかな……今でこそ町に住んでいたがそれまでは旅から旅の生活だった。  おじさんは傭兵(ようへい)を生業にしている。本人曰く超凄腕らしい。お酒を飲むといつも自慢げにそう言っていた。  そんな自称凄腕の天才剣士なおじさんと一緒にいるためにも、僕も色々と努力はしてみた。いつかおじさんすら超えて、天下に名を轟かせる大剣豪になるべく、時間の許す限り剣を振り続けた。  だけど、どうやら僕はおじさんの足手まといにしかなれなかったみたいだ。  ──お前に剣士は無理だ。それじゃあお前の夢は叶わない。  そう言われてしまった。実際毎日おじさんと手合わせをしたが、僕の剣がかすることすらただの一度もなかった。おじさんが酔っぱらってた時ですら、だ。  そこからスッパリ剣士の道を諦めた僕は、史上最強の槍使いを目指した。  おじさんとの傭兵旅や剣士を目指した経験から、槍の利点や槍を振るう時の基本的な形は知っていた。  ここからまた一年以上槍を振り続けた。が、相変わらずおじさんにはかすりもしないし、おじさんの飲み友だちという槍使いの人とも手合わせしたが、とても同じ武器を扱ってるとは思えないほどの実力差がそこにはあった。  ──お前には武芸は向かない。  槍の後にもいくつか試していた頃にとうとう言われてしまった。  たしかに自分でも実感していた。  おじさんと共に旅する中で多くの町や村に泊まり、時に魔物や盗賊たちからの襲撃を受けた。毎回自分の命こそ無事だけど、流れた血を見る度に自分の無力さを痛感した。  何か、何かあるはずだ。武芸がダメなら他の手段で夢を叶えるんだ。 もう二度とあんな思いは……
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