42人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんな下民のことよりも、とにかく今すぐに私に魔法を教えなさい! いったいいつまで農業の勉強なんてさせるのよ!」
フルートさん(?)は僕に当たるのを止めて、先生へ噛みつくように怒鳴り始めた。
そういえば気絶する前も同じようなこと言ってたような? でも、ここは農業の勉強をする学科じゃなかったっけ?
「ったく、うるさいな。座学がかったるいのはわかるが、これも一応大事なことで……」
先生はそこまで言い、ちらりと僕の方を見た。
「おっとそうか! ようやくアグリが来たことだし、これで実習が始められるな。喜べフルート! 今日はお待ちかねの農作業だぞ!」
「だ~か~ら~……」
不穏な気配を漂わせながらフルートが何かを呟き始めた。
「農作業なんてどうでもいいから~……」
肌に刺さるような圧迫感を、この自分よりも小さな少女から感じた。とにかく危険だ、なんとかしなきゃと近くの机の下に身を隠したその瞬間──
「魔法を教えなさいよー!!」
その叫びと共に、まるでこの場に突然竜巻が生まれたかのような激しい暴風が巻き起こった。
しがみついた机と共に壁に叩きつけられ、そのままさらに天井へと巻き上げられた。
空を飛ぶって、こういう感じなのかな?
全身に痛みを感じながらそのまま机と共に床へ落下し、本日一番の激痛にあえぐのだった。
最初のコメントを投稿しよう!