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誰もかれもが新しい元号が来る事を喜んでいるように見える今日この頃。 天気は晴れ。 だから少年は飛んだ。 校舎6階の屋上の鉄格子を跨ぐまでに躊躇うような時間はかからない。 今の時間は丁度授業中。誰も真下の中庭には出てくる事はないだろう。 校舎6階の縁を蹴り宙に身を預ける。 ほんの少しの浮遊感の直後凄まじい勢いで地面に引きずり込まれる。 飛び降り自殺。 世間一般で言うなら自らの命を絶つ卑劣で残虐な行為だと罵られるのかもしれない。 だが少年の心を満たしていたのは、たった一つの歓喜だった。 「ああ、やっと終わる事ができる」 解放の会報が自身の身体に衝撃として伝わるまであと何秒間だろう。 それまで少年はゆっくりと目を閉じた。 1秒 2秒 3秒 4秒 少年はゆっくりと薄眼を開ける。 遅すぎるその結果に堪らず自分の置かれている状況を把握した。 「ようこそ!不知火 露葉さま!あなたは、今時代から消えました。」 少年はもう二度と踏む事は無いと思っていた地面を踏みしめていた。 地面と言うと語弊がある。 その場所は下にカーペットが敷かれ、ソファーが対面に置かれ、その間にガラステーブルが置かれている応接間。 そして謎の仮面を付けた男が目の前に居た。 「おや?何も喋らないですが?どうされました?頭でも強く打ちましたか?」 嫌味にしては洒落が効いている。 「さっきまで頭を強く打つ用事があった筈なんだが…これはどういう事だ?」 露葉は先まで屋上で飛び降り自殺の真っ最中だった筈だ。 だが気が少年が気が付いた時には、知らない応接間に立ち竦んでいた
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