改変事項

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改変事項

小鳥を家に上げ、数分後カチャンと軽い音と共にポストに、何かが投函された。 小鳥は待ってましたと言わんばかりに玄関先のポストを開け、今しがた投函されたであろう手紙を取ってリビングに戻ってくる。 「一応露葉さんは初めてという事なので、いくつか説明しますね。」 そう言って小鳥は几帳面に便箋の封を切る。 「この手紙なんですがよく見てて下さいね。」 そう言って小鳥が机に広げたのは何も書いていない真っ白な紙が二枚。 露葉が見て数秒後変化が起きる。 白い紙に文字が浮かび上がってきたのだ。 「これ…魔法か何かですか?」 「いえ、現実ですよ。露葉さんには、何て書いてありましたか?」 「えーっと…」 そこにはよく分からない事が、ずらずらと書いてあった。 一つ6月24日14時28分20秒までに指定された川に大きさ50センチ四方の石を投げ込む事。 二つ6月25日16時12分までに駅前自転車置き場の自転車全てを倒す事。 三つ6月25日7時42分40秒に指定十字路にて御伽 薫〈人名〉の自転車に轢かれる事。 以下露葉、小学校内にて。 ギア3名。 黒森白亜 7月24日 並びに以下2名 白鷺萌 白鷺優 7月19日 死の運命を回避する事。 そしてもう一枚の紙に変化が起こる。 露葉にはそれが一瞬写真にも見えたがちがう。 《兄弟の悲鳴届かず》 そう記された見出しから始まる新聞記事。 その記事には今しがた見た二つの名前が被害者としてデカデカと書かれていた。 「書いてありましたけど…これどうすれば?」 「すみません。私は露葉さんの時代改変については見る事が出来ないんです。自分の指令書は自分にしか見る事が出来ません。」 「じゃあ小鳥さんは、この紙どういう風に見えてるんですか?」 「白い紙としか…」 小鳥は申し訳なさそうに頭を下げる。 だが見えないならと、露葉はその文章を読み上げようとした。 「………え?」 声が出ない。 ならばと、 ペンを持ち紙に文字を走らせようとして、ペンを落としてしまう。 「はい…ダメなんです。内容を手伝う事までは出来ますが、他の方に自身の指令を教えることは出来ません。」 小鳥は今なお無理やりペンを持ち紙に文字を書こうとしている露葉を嗜める。 「そしてもう一つ。出された指令に失敗した時。特にギアの絡んだ指令を失敗した場合はペナルティが課される事になりますので…あの、とにかく頑張って下さいね。」 ギアの絡んだ指令ということは、下の二つ。 死の運命の回避。 それを失敗するということはつまり、ギアを死の運命から回避し損ねた場合。 という事なのだろう。 ペナルティ。そんな話は聞いていないとあの仮面の男に文句を言ってやりたい気持ちが湧かない訳ではないが、まぁいい。 露葉がここで目指すべきは一つ。 自身の生まれ出自に行き、自分という存在を無かった事にする。 それが露葉が妹に出来る、唯一の罪滅ぼしなのだから。
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