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第八話:死神教授と水泳大会(ポロリもあるよ!)
諸君。暑いな、夏真っ盛りと言う所だ。ああ、言い忘れた、死神教授だ。
先日、我が日本支部において発覚した戦闘員、並びに怪人たちの体力不足と言う事態を受け、急遽わが支部では健康づくりを目的として、このたび水泳大会を挙行する事となった。チョーカー日本支部職員の健康管理は医学班のトップである吾輩の職掌であるからして、自ずとプログラムの企画進行は、吾輩が取り纏める事となった。やれやれ、雑務ばかりが増えていくわい。
但し、やるからには本気を出す。まずは、本格的な競技に耐える全天候型50メートルプールの建設から。そこからか?と思うだろうが、どこの世界に怪人や戦闘員が自由に使える公共プールがあると思う?と言う訳で、むしろこれはチョーカー職員の福利厚生を考えての事業でもあるのだ。
幸い、我がチョーカーは高度に自己完結した組織である。世界規模の秘密結社なのだから当然と言えば当然ではあるが。その我々が本気を出せば、観客席込み、ジムにサウナにスパ併設の本格的競泳施設を一カ月足らずで完成させるなど朝飯前の事だ。
無論、水質にもちゃんと配慮する。細部に手を抜かぬ事、これこそ吾輩のモットーである。かくして、第一回チョーカー日本支部水泳大会の準備は着々と進み、真夏の日差し眩しい八月某日、ついに熱戦の火蓋は切って落とされたのであった。
競泳、水球、シンクロナイズドスイミングと、プログラムは順調に進行して行く。皆真剣に競技に参加しているが、別に遊びでやっている訳ではないので至極当然である。
もちろん、吾輩も真剣に各競技の進行を見守っている。決して普段はお高くとまっている女性幹部達がハイレグ水着を着ている姿を楽しんでいるとか、その様な事は一切無いので疑問を抱いたお前の様な輩は後で処するから覚悟しておけよ。
さて、次の競技は…ふむ、ウォータースポーツの華、高飛び込みか。
戦闘員、怪人が次々に現れてはジャンプして行く。中には着水に失敗して、プールの表面にパーツが浮かんでくる奴も居るが、それもまた一興と言うもの。後で吾輩が念入りに取り付けてやるから心配無用だ。
次の選手は…怪人放射能男か。どんな奴だったかな…
何気なく吾輩は選手のプロフィールを見た。なになに…「体内に様々な放射性同位元素を内蔵し、口から散布することで環境に甚大な悪影響を及ぼす。」ふむ、中々に吾輩好みではないか。「特に放射性セシウム137は半減期が30年…」ん?セシウムだと?
セシウムー水反応だと??
「誰かァ!あいつを止めろぉぉぉ!」
吾輩の絶叫に、慌てて戦闘員が駆け寄り、今まさに飛び込もうとしている怪人放射能男を後ろから羽交い絞めにする。さらに数人掛かりで飛び付く戦闘員を振り切ろうとする怪人。その口から、ポロリと銀色に輝く何かが飛び出すのを吾輩は見た。
その日、関東地方では謎の地震が観測されたのだった。
『全てを…我が物に。わ、我が物は全て総統閣下の物に。ヘ(日記はここで途切れている。)
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