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「お疲れさま、サンキュー」
アケミは兵隊のシャツのボタンをとめ、ズボンのベルトを締めた。GIカットの短い髪に櫛をあててやり、お別れのキスをすれば、ビジネス完了。
テントの出入り口まで送り、外を見た。行列が消えている。
「あたし、何人やった?」
腰をもみながら、受付のキムを振り返った。
「君は、ね・・・もう12人もしてる。残る予約は10人だけだよ」
「じゃ、あたしは終いで。後は、あの子たちにまかせるわ」
キムは台帳を見て、さすがベテランと笑みをこぼす。
アケミは深呼吸で背伸びした。男を早くこなすのは長い経験のなせる術だ。
時計は午後6時に近い、腹がグウと鳴った。ジョンウがシチューの鍋を持って来た。朝も食べたやつ。
アケミはイスに腰掛けて、スプーンを手にした。GI向けの食べ物は固くてアゴが疲れるけど、無いよりは良い。
ジョンウが新しい水のバケツを運んだ。バケツを置いて、ふうと肩で息を入れる。
「サンキュ」
サラが客を送り出した。そして、腰に手を当てて背伸びする。ぐっ、痛そうに顔をしかめた。
「あたし、今夜は、ちょっと、もう」
「おいおい、まだ10人やっただけだろ」
キムが首を振る。とは言え、だめと言う女に無理強いはできない。
サラはテーブルでシチューを食べた。食べる間も腰をひねりひねり、かなり痛そうだ。
粗末な簡易ベッドでの商売だ。正常位だけでは腰に負担が大きくなる。上になったり、横になったりで、体位を工夫しなければ多くの客を相手に商売できない。
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