1-1 暁久side.

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1-1 暁久side.

「あきひさ~、今日の宿題って漢文の予習と数IIの練習問題だっけ?」 「そうだよ~」 何気ない会話がとても嬉しい。まさか高校でも同じクラスになれるとは思っていなかった。また夏也と同じ空間で勉強できるなんて、俺はどれだけ幸せ者なのだろうか。幸せすぎる...... 「今日の数IIの問題めちゃくちゃ難しかったよなー。僕、数学ついていける気しないわ~。理系のコース選んだこと今更後悔してる...」 「わかる。数学ムズいよな~それより俺は化学がもっとやばい...こんなに計算多いなんて聞いてない!」 「じゃあ今日は久しぶりに一緒に勉強する?」 夏也と久しぶりにする勉強楽しみだ... 最近暑いから冷たいもの食べたいなあ。 「そうしようぜ~。終わったら一緒にアイス買って食べよ!!」 「そうしよう!アイス楽しみにがんばろーっと!」 「はあー勉強疲れたー!アイスだー!今日もパピコにしよっかな〜」 「夏也あのアイス好きだよな〜。なんでいっつもパピコなんだ?」 「え〜言うの恥ずかしいなあ...」 夏也は少し照れながら答える。 「暁久と勉強終わって帰るときに半分こして食べたときあったじゃん?覚えてる?」 やばい、全然覚えてない...いつの話だろ...? 「ごめん、覚えてないわ〜」 「まあ覚えてないのも無理はないよ。あの頃は受験で切羽詰まってたからね。」 そうだった。夏也と勉強していたあの頃、現在通っている高校に受かるか受からないかのグレーゾーンだった時期があったな...あの頃は何度も夏也に支えてもらったっけ。 夏也は話を続ける。 「で、その暁久と半分こして食べたときに、半分こできるこのアイスってなんかいいな〜って思ったんだ。半分こするのって仲良い人とだけじゃん?だから僕は暁久と仲良くなれたんだ、大切な友達ができたんだ、って思えた。僕は今まで暁久ほど仲良くなった人がいないんだ。だからあのときの嬉しさを思い出して今でもよく買っちゃうんだ。」 嬉しい。アイスを半分こしただけのほんの些細なことなのに、暁久は少し照れながらもとても嬉しそうに、幸せそうに話してくれた。 「そうだったんだな〜。夏也があのアイスばっかり買う理由が俺だったなんてなんか嬉しいな!」 あまりに嬉しすぎて思っていたことがそのまま口から飛び出す。 「ああー!恥ずかしい!やっぱ言わなきゃよかった!」 「いいだろ〜!俺も聞けて嬉しかったんだから!」 少し頰を赤らめて照れ笑いする夏也が可愛い。 優しくて可愛い夏也と一緒に過ごすことができて、アイスについての新事実が発覚して、今日はとても幸せな日だ。 でも、欲を言うならそんな夏也に触れたい、抱きしめたい。叶わないであろう思いを今日も胸の奥に仕舞い込む。 夏也のことが好きだから。
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