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「ううっ」
「お顔が真っ赤ですよ?」
「呉宮のせい」
「はい、存じ上げております」
1階に到着するエレベーター。
扉が開いて直ぐ呉宮さんは先に足を進め、私をエスコートするようにエレベーターから下ろしてくれた。
会社なのにいいのだろうかと思ったけれど、ロビーに人影は見当たらない。
何だかいけないことをしている気分になって少しだけワクワクした。
「どちらへ行かれますか?」
「マスターの喫茶店に行きたい」
「最近良く足を運ばれているみたいですね」
「え……う、うん」
喫茶店が気に入ったというのもあるけれど、もしかしたら呉宮さんと会えるかもしれないという邪な感情から足を運んでいるなんて言えない。
結局会えたことは1度もなくて、いつもマスターと雑談をするだけで時間は過ぎていくだけだったけれど。
それから私達は会社を出た。
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