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意地悪な寸止めキス
喫茶店まで徒歩20分弱。
大通りを外れた小道を進んだ先に、隠れ家のように佇んでいる喫茶メリーゴーランドは常連客が大半を占めているらしい。
マスターが年配だから同世代のお客さんが多いようで残業終わりに行くとほぼ貸し切り状態である。
「マスターこんばんば」
「やあ彩星さん、いらっしゃい」
カウンターを陣取るマスターは相変わらず優しいオーラ全開だ。
いつものカウンター席へ座ろうとすれば、呉宮さんがそれを引き止める。
「奥の部屋借りても大丈夫ですか?」
「勿論だよ。珈琲と紅茶を運ぶからゆっくりしてておくれ」
初めてレンタル執事を利用して以来の部屋は何も変わっていなかった。
私の大好きなアンティーク調の家具で揃えられとても心安らげる場所のまま此処にある。
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