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吸血鬼がどうやって死ぬか知ってるか?
直射日光に当たった途端、炙ったパラフィン紙みたいによく燃えるんだそうだ。
でもって一瞬で灰になる。
そしてその灰も燃えて塵になって、あっという間に消えて無くなる。
前に伊邪也が言っていた。
それ以来、伊邪也は独りだ。
当初コイツは、俺を仲間にしようとしたらしい。
だがコイツは子供過ぎて、俺が死ぬまで俺の血を抜くことが出来なかった。
その所為で俺はコイツの眷属になった。
眷属と言われると、なかなか屈辱的な言い回しと立場だが、吸血鬼に比べれば、まだいい。
日光に当たって燃え上がることもないし、腹だって減るし飯も食える。
昼間でも、炎天下でも動きまわれる。
普通に歳を取れるし、息をしてればそのうち寿命が尽きる。
その辺は、普通の人間と大して変わらない。
それに、その不便極まりない吸血鬼だって、直射日光さえ当たらなければ、すぐに死ぬことはないって、ユルユル設定だ。
今は、日焼け止めや、UVカットの傘やらが出回ってるお陰で、海水浴とはいかないまでも、こうやって朝の日差しの弱い内なら、外をほっつき歩くことも可能だ。
伊邪也は、俺よりはるかに年上なんだろうが、何十年も生きてきたと言う割には、見た目も中身も子供のままだ。
きっと、この先もずっと、子供のままなんだろう。
独りきりの、永遠の11歳。
誰かが世話してやらないと生きていけない。
その点では、俺は吸血鬼になるより眷属をやっっていた方が、まだ融通が効く。
俺は時々、思う。
一体誰が、伊邪也をこんなにしたんだろう。
一体誰が、最初にコイツを、預言者の名前で呼んだのか。
どんな思いでコイツを、希望を齎らす預言者と呼んだのか。
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