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1日のはじまり
明け方、夜通しの疲れを引きずって自分の部屋に辿り着く。
玄関を見て俺は思う。
― あぁ、もう勘弁してくれ
今くぐり抜けてきた扉の向こうでは、朝の喧騒が始まったところだ。
陽光が立ち上り、乱立するビルを、その隙間を照らしていく。
爽やかな1日の始まり。
今日もよく晴れそうだ。
俺は玄関脇に立てかけたままになっていた傘を手に取り、また部屋を後にする。
― 疲れてんだけどな…
...なんかギトギトする
早くヤニと汗と酒の匂いをシャワーで洗い流したかった。
一秒でも早くベッドに潜り込みたい、だるい体を無理に押して、俺は、まだ人もまばらな繁華街を通り抜ける。
何処に行ったかなんて、そんなこと、知らなくたって奴の居場所が俺にはわかる。
なぜなら、俺は奴の下僕だから。
かれこれ、2年になる。
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