さみしげのよる

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星空を見上げている はかなく手のひらから零れ落ちる星の砂 すいこまれるようにとけて消えていく わけもわからないくらい悲しくて、 心臓にガラスが突き刺さったように胸が痛くて、 叫んでも叫んでも足りなくて、 爆発しそうな悲しみに脳がみたされている 舞い散る蛍光が悔しいくらいにうつくしくて、 だけどあなたのその優しげな微笑みのほうが何倍も何倍も美しかった。 いまから一分一秒ごとに、あなたの記憶は薄れていくんだろう ただ、薄れていくだけ。 それが絶望的で、地獄のように苦しくて、全身が生きたまま燃やされるくらい心が痛くて ああ―― 私の心が焼け落ちていく 熱したビードロのように赤くなって、粒がこぼれて、水のようになって流れていく 砂の表面でじゅうと音を立てて、物言わぬ灰になっていくんだ そのまま何もかもが焼けてしまえばいいのに この世界のぜんぶが壊れてなくなってしまえばいいのに ぜんぶぜんぶがまっくらに飲み込まれてしまえば、 私の気も晴れてくれるのだろうか……? 最悪だ。 最悪だ。 もう何も残らない 燃えるはしから灰になる 私はこれからかなしみの残骸になる 生きたまま焼け死んで、空に消えたい。 あなたと同じように、一緒のように、 空に消えたい。 消えろ。 消えろ。 跡形もなくぜんぶ消えろ。 そうやって何もかもを呪いながら、眩しい星まで憎んで叫ぶ 醜い私の泣き叫ぶさまを、あのひとが見ていないことだけが救いだった。 消えろ。 消えろ。 なくなってしまえ。 燃えて、燃えて、なくなればいい。 抜け殻の瞳にもう何も映らないように。 ぱたぱたと血を流すように。 ぱたぱたと、ぱたぱたと。 血を流すように、溶けたビードロのように。 ドロドロになって赤く焼けただれていくように。
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