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第三十一話
「未咲、もういいから来て」
引ん剥かれた身体を健気に俺に預け、火照った顔の睦月が強請る。
「けど、まだキツイから」
解けない手を握りながら、片手でしか睦月を可愛がれないのがもどかしい。
前を口で扱きながら、唾液に濡らした指で丁寧に尻をほぐしてやる。
口の中で、徐々に睦月の体積が増していく。
「睦月、いいよ。このままイキな」
「やだッ」
強く吸おうとしたところで、睦月の手により頭を押し退けられる。
「未咲のでイキたい。お願いだから、もう...頂戴」
涙を浮かべ、懇願するように睦月が手を伸ばす。そのエロさに、身体が熱くなると共に腰の辺りが重くなっていく。
「あんま、煽んないでよ」
柔らかな髪を掻き分けて、額に優しくキスをした。汗ばんだ肌の感触が甘く唇を刺激する。
「未咲、ゴメン。僕もう――」
言いかけたその口に指を突っ込んで、舌を挟み込む。睦月の味を纏った俺の指を、熱い舌がクチャクチャと嘗め回す。
「睦月、俺も限界だ」
腿を掴み、睦月の片方の脚を上げさせる。
「挿れるよ」
既にとろけてグズグズになった睦月の中にゆっくりと入っていく。
そこは皮肉な程に生命力に溢れ、熱くうねって俺を受け入れた。
「あ...あ...みさきぃ...」
糸を引く様な声で求められ、加減がきかなくなる。
「睦月、奥まで入れたい」
「いいよ。全部...頂戴」
抱き潰しそうになるのを寸で堪えながら、伸し掛かる様にその体を包み込む。
睦月の中がニチニチとキツく俺を締め上げ、飲み込んでいく。
「うぁ...あ......」根本まで達した瞬間、睦月が絞り出す様に声を上げた。
「苦しい?辛かったら言って」
ふるふると首を振ると、濡れた瞳で睦月が俺を見上げる。
「未咲、ごめんね...」
「なんで、ごめん?」
「生きてる時も、死んでからも、僕は未咲を色んな人から引き剥がしちゃった」
「言ったろ?俺は睦月のものだよ。だから――」
「だから?」
「命も全部、あげるよ」
「未咲...」
俺の名前を呼んで流す涙すら惜しく、大切に舌で舐め上げる。
睦月の手が、しがみ付く様に背中に回される。
「動くから、そのまま摑まってて」
蕩けた睦月に唇を重ね、腰を打ちつける。
痛みに堪える様に、背中の皮膚が爪で引き裂かれるのが分かる。
動きを緩めて腰を回して探ってやると、睦月の身体が弓なりに反った。
「――ッ!」
「...ここ、きもちいいの?」
音にならない声と共に、睦月の口角から流れる唾液が細く糸を引く。
擦ると締まる部分を攻め続け、上がる息と睦月の喘ぎ声の中で次第に意識が溺れていく。
「み...さき」
「なに?」
「僕を見て」
脳天を突き上げる快楽に耐える様に固く閉じていた目をゆるゆると開ける。
滲んだ視界の先で、睦月が泣きながら微笑んでいた。
「未咲、最後に見せてあげるよ」
「...なにを?」
「未咲が死んだところ」
「え――?」
言葉を返そうとした瞬間、唾液塗れの睦月の舌が俺の右の眼球をベロりと舐めた。
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