本編

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目が覚めれば視界に入るのは見慣れた宿舎で、オレは夢から覚めたことを自覚する。 「飽きもせず同じ夢を見るもんだ」 一人が寝るには広いベッドの上でオレはあきれたように笑う。 夢について考えるのはとっくの昔に止めている。 起きようと身体を捩ったところでオレの耳にドアを叩く音が入ってくる。 オレはベットの脇にあるカレンダーを確認し、壁に架かっている時計を見た。 「休みなのに朝っぱらから誰だ」 時計は朝七時を指していて休日に起きるには少し早く思わずオレはぼやいた。 「申し訳ありません緊急の要件でして…」 オレのぼやく声が聞こえたのか扉の向こうから申し訳なさそうな声が返ってきた。 聞き覚えのない声だなと思いながらもオレは仕方なく扉を開いた。 そこにはオレとそう変わらないぐらいの青年が立っていた。 「まず色と番号は?」 「濃藍≪コアイ≫の一番です!」 「じゃあ要件は?」 名前代わりの色と番号を聞き、そして要件を聞く。 オレ達に名前はない代わりに色と番号が割り振られ、それで個人を判別している。 ただ例外が三人いてオレもその例外の一人だ。 オレに番号はなく黒紅≪クロベニ≫と呼ばれる。 もしくはキング。 一応ここではトップらしい、自覚はないけどな。 だから緊急の時はこうやって非番でも呼ばれる時がある。 まぁ普段は後の例外二人が片付けてくれるから、オレが呼ばれるのは少ないけどな。 んっ?なんか嫌な予感したぞ? 「その…大変申し上げにくいのですが…とりあえず一緒に来ていただけませんか? 見たらすぐに分かりますので…俺達みたいな番号持ちではどうにもならないんです」 今オレの中で嫌な予感が確信へと変わる音が聞こえながら促されるまま濃藍の一番についていった。
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