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茉莉奈はからかっただけと笑って見せるが、俺にはほんの少し寂しさを隠しているような表情をしているように見えた。
思えば、茉莉奈との出会いは運命的だった。同じ様な毎日だった俺の日常に突然現れた天使なんだ。
毎日乗る通勤電車。そこに茉莉奈はいた。
俺の存在なんて気にもしていなかったと思う。俺はなんて綺麗な人なんだとちらちら見てしまっていたけど茉莉奈は気付いていただろうか?
今、ここでこうやって2人でいるのは決して俺が勇気を出して声をかけたわけじゃない。
ある時、俺はいつもの電車に遅刻したんだ。でも、遅れたその日ちょうど茉莉奈も遅刻したらしい。
2人共、遅刻は過去に一度きり。その時のたった一回がたまたま同じ日の朝だったんだ。本当に運命だと思ったよ。今でもその時の事を鮮明に覚えている。
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