朝が来るから、

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 私は、朝が嫌いだ。    二人だけの暗い暗い部屋で、私の体は彼女を感じる。  彼女の高い熱、彼女の滑らかな肌触り、彼女の眠たげな顔、彼女の荒い吐息、彼女のどこか懐かしい香り、彼女の甘い唇……  その全てが、私の胸を響かせる。 「ミサ、可愛い。大好き。」  私は、目の前の愛しいひとに愛を伝える。それを惜しむ理由など、今の私には一つも存在していない。  夜の続く限り、私たちは他の何にも縛られずに愛し合える。 「私も、大好き。」  もう一度、唇を合わせた。    明日のことを考えると、もう眠ってしまわなければならない。  ずっとずっと、愛したかった。  明日も同じ一日かもしれないけれど、それでも、また目の回るような時間が来る前に、静かな時間のうちに、もっともっと、ずっとずっと、愛したかった。 「私は、朝が嫌い。私たちの夢のような時間に終わりを告げてしまうから。」  絡めあった指先も、もう緩くなっていた。 「大丈夫。私は朝が好きだよ。だってね……」    私はあの子より、早く起きなきゃいけない。あの子は朝に弱いので、もう少し寝かせてあげよう。  差し込む朝日と、届く鳥の鳴き声は、まるで私たちを祝福しているように思えた。 「私は、朝が好き。」  あの子の可愛らしい寝顔に、そっと呟く。  あの子は朝が嫌いと言ったけれど、私は朝が好きだ。  あの子と愛し合っている時間は夢のようで、たまに本当に夢なんじゃないかって不安になる。  でも、朝が来れば、それが現実のことなんだって思える。  だから私は、朝が好き。
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