(30)小さなモルモット

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(30)小さなモルモット

(小さなモルモット ちょこちょこ歩く) (食べても食べても 太らない) (ちょろちょろ ちょろちょろ 歩いては) (暴れて 泣いて 騒いで 喚いて) (ある日狂って 変死した) マイケルという少年の話だ。 マイケルは、普通の少年だった。 ある日マイケルの母親が病にかかった。 母親の薬を買うために、マイケルは薬屋で働くことにした。 薬を売ったり作ったりする仕事ではない。 薬を飲んでその作用を見る治験の仕事だ。 若いマイケルは、その仕事を沢山受けた。 時々副作用で歩くアヒルや喋る犬を見た。 夜中突然大声を上げたり泣いたりした。 ふっくらとしていたマイケルは、日に日にやつれていった。 そして。 マイケルの頑張りも虚しく、母親は亡くなった。 葬式の時のマイケルの顔は、あまりにも。 母親が亡くなった後も、マイケルは治験の仕事を続けた。 最期の仕事の時に、マイケルは言った。 パレードが見える、と。
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