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誤解
暫く逡巡した後、羽柴は意を決して家を出ることにした。覚悟を決めたのだ。
小林からのメッセージは、ここにいては聞くことが出来ない。人混みに紛れて、不特定多数からの声を拾わないといけないと思ったからだ。
しかし、学校に行くことは出来ない。
誰かに声を掛けられても、その声のほとんどはかき消され、あるいは無視してると相手に誤解される恐れがある。
同じ理由で、出来れば自分を知るものが一人もいないところがいいと、羽柴は考えた。
制服では補導されるかもしれないと思い、私服に着替えてから家を出た。
向かう先は、日中でも客足の途絶えない街中のファストフード店。
この時間なら、そこで知った顔に会う事もない。人も多いから、聞こえる言葉も途切れることはない。
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