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男子からの冷やかしと、女子からの黄色い声。
先生も、「そうなのか?」とでも言いたげに羽柴を見ている。
小林は、友達に肘で脇を突かれながら、真っ赤な顔をして俯いている。
羽柴は頭に血が昇ってしまい、全身を紅潮させながら叫んだ。
「そ、そんな訳ねえだろ! こんなキモいやつ、好きな訳ねえじゃん!」
一瞬にして、その場の空気が凍った。
静けさが羽柴の後を押す。一度口を開くと、もう止めることが出来ない。
あとはもう、心にもない言葉を、無意識に繰り返すだけ。
「デブだし、ブスだし、足は遅えし、どんくさいし‥‥‥」
そこまで言って、羽柴は我に返った。
小林が泣き始めたからだ。
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