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ハンバーガーショップの前で、羽柴は一度深呼吸した。
そこで一度目を閉じると、顔を上げ、目を開いて、自動ドアの前に立つ。
ドアが開くと、小さいながらも中からの声が一斉に耳に飛び込んでくる。
ここでは、さっきまでみたいに途切れ途切れではなく、間髪入れずに声が聞こえてきた。
羽柴は、聞こえない声があると悟られないように、慎重にハンバーガーだけを注文すると、席に着いた。
「し」「い」「い」「た」「い」「て」「す」「い」「ん」「き」「き」「た」「い」「し」「い」「ず」「ん」「で」「て」「い」「ぎ」‥‥‥
まだ言葉の体をなさない、ただの声が羽柴の耳に侵入してくる。
ここで羽柴は少しの違和感を覚えた。「だいきらい、しんで」という言葉には不要な言葉が混ざっていたからだ。
確認するために、羽柴は周りに聞こえないように、ゆっくりと小声で声を発した。
「 、し、す、 、 」
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