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小林の母親は、外面は非常によく、近所の評判も上々だった。だが、娘に対するそれは、異常なものだった。娘は、母親のストレスのはけ口としてだけ存在していた。
こういう時、親の対応は大概次の二つだ。
自身を擁護するために学校側を責める者。その場合、先生や生徒のいじめが原因だなんだと言い掛かりをつけるのが殆どだ。
そして、自身のDVの発覚を恐れ、口を噤むもの。その場合、何を聞かれても知らぬ存ぜぬを通す場合が多い。
小林の母親の場合、後者だった。
今も、娘が自殺したと思い、その場合、原因が自分にしかないと考えた母親は、その現場を見なかったことにした。
誰かが報告してくるまで待ち、その間に動揺を抑えようとしたのだった。
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