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辺りが騒がしくなり、救急車のサイレンの音が近づいてくる。
遅れて警察が到着すると、周りに黄色いテープが巻かれた。
現場はやじ馬でごった返し、マンションの窓も殆どが開かれ、小林の体の周りには救急隊員と警察に囲まれた。
遅れて母親が、全身を震わせ泣き崩れながら降りてきた。
しかし、魂のみとなった小林には、それが偽りの悲しみ、偽りの涙であることはすぐに感じ取れた。
肉体を持たなくなった今、人の言葉以上にその身に飛び込んでくるのは、それぞれの感情だった。
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