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「羽柴君、ひどぉい!!」
小林の周りを囲んでいた女子が、羽柴を責める。
男子は突然の事に皆、ただ目をぱちくりさせて黙っている。
流石にこれには、先生が口を挟んだ。
「羽柴、今のは言い過ぎだな。謝りなさい」
「う、うるさい!!」
「おい、俺が悪かったよ。落ち着けって」
松坂が申し訳なさげに羽柴の手を掴んだが、羽柴はその手を振りほどくように、その場から走って逃げてしまった。
羽柴は誰もいない教室に駆け込んで、自分の席に座った。
そよ風にカーテンが揺れて、羽柴の頬を撫でる。
雲の切れ間から、陽射しが羽柴に降り注ぐ。
静けさの中、グラウンドからの微かな声と、水槽のポンプの音だけが羽柴の耳に響く。
孤独と静寂にいたたまれなくなって、羽柴はランドセルを勢いよく肩に引っ掛けると、教室を飛び出した。
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