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母親の胸の内も感じ取ることが出来た。
『私のせいじゃない。私のせいじゃない。私のせいじゃない‥‥‥』
胸の内でそう繰り返しているのが手に取るように分かる。
小林は全てに絶望し、ゆっくりとその場を離れていった。
気が付くと、小林は羽柴の自宅前にいた。
ほかに行く当てなどなかった。
まるで元々そうだったかのように無意識に、体を宙に浮かせて窓をすり抜けて、そのままゆっくりと二階にある羽柴の部屋に入る。
入るとすぐに、意外と小綺麗なその部屋のベッドに腰掛けている羽柴と目が合った。
小林は慌ててごめんねと言いながら隠れようとしてしまったが、その言葉も姿も、羽柴には届いていない。
ーーそうか、私は死んだんだっけー
そう思い返し、ゆっくりと羽柴に近付いてみた。
怖い目をして壁を睨みつけている羽柴の心の声が、小林の魂に響いてくる。
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