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ーー何やってんだよ、俺ーー
その心の色で、羽柴が小林に悪態をついている事を連日後悔していると感じ取れた。
『大丈夫だよ。分かってる。だから、二学期になったら‥‥‥』
羽柴に届かないその声は、部屋の中に溶け入るように消えた。
小林は、二学期を迎えるどころか、明日からはもう会えないのだと気付いて、哀しみのあまり無意識に、ゆっくりと羽柴に近付いた。
その頬に手を伸ばすーー
でも、触れることは叶わない。
ふと、羽柴が顔を上げた。
小林は驚いてその場から飛びのいた。
「‥‥‥馬鹿だな。そこに小林がいるような気がしちまった」
『い、いるよ、ここに』
でも、その声もまた、届くことはない。
「もう、俺の事なんて嫌いなんだろうな。本当に俺って馬鹿だな」
『そんなことないよ!私‥‥‥私は‥‥‥』
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