満月の夜は 傘をさしましょう

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 いつも一人ぼっちのわたし。他人なんて信用できない。一〇歳で痛い目にあってからは、積極的に孤独を愛している。  あのときはどうすることもできなくて、遠くの町に住むテレーザおばあちゃんのところになにもかもを捨て、わたし一人で引っ越した。  パパやママとはなれ、すべての友達を失い、過去をひた隠し、人生を一からやり直すことになっちゃうなんて、わたしってなかなかにハードな少女だと思わない?  痛い目にあってからの三年間。  わたしは深い湖の底に沈んだ小石になりきって、誰にも気にとめられないよう、こっそりと学校生活を送っている。 「アデリーナ」と先生に名指しであてられたときにだけ、声を出す。  休み時間は教室のすみで本を広げ、男の子とも女の子とも口をきかない。  お昼の食事時間は、教室や校庭や食堂と、その日その日で場所を替え、いつものお馴染みさんができないようにしている。  目立たないように、人の注意を引かないように、時間をやり過ごす。  だから最近になって、バルバラが視線をよこすようになったことに、戸惑っている。怖れすら感じる。  バルバラは派手な顔立ちで、なにかと目立つ少女。同じ年とは思えないほどにグラマー。さらには、おじいちゃんがこの町の顔役。  男の子も女の子も先生までも、バルバラのことをちやほやして、学校のお姫さまみたいな存在。  この子がそばにくると、不幸もそばにやってくる。  だって、秘密ってまわりに人がいればいるほど、もれてしまうものだから。  もう二度とあんな嫌な目にはあいたくない。
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