ある日、午前3時のコンビニ。

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 フライドフーズを揚げるフライヤーの鍋とホットケース内のトレーやトングの洗浄、カウンター内の備品の補充、コーヒーメーカーの点検と備品の洗浄、その他諸々――いつ来るかわからない客の応対や会計作業と並行して色々な作業を進めていくうちに、日付は変わって木曜日になっていた。  一通りの作業を終えてレジ内のお金の点検を行う準備を始めようとした時、客のいない店内に黒いスーツを着た年老いた男性客が入店し、そのままカウンターのもとに来た。  「すいません……タバコ下さいな」  そう言って顔を上げてマコトの目を見ると、表情が凍り付いた。  目が合ったマコトは気付いた。目の前の年老いた客は、父方の叔父だった。会うのは父方の祖父の葬式以来だった。  「ぼっちゃん、ここで何しとる?……どうしてここにいる!」  「……えっ?」  初めて見る叔父の鬼気迫る険しい表情だった。  「はよこっから逃げなさい! ここにいたらあかん!!!!!」  叔父はマコトの右肩を急に掴み、乱暴に揺らして叫んだ。明らかに取り乱していた。  「ちょっとお客様!」  お菓子の陳列棚の整理をしていた店長が異変に気付き、マコトと叔父のもとに駆け寄った。  マコトは叔父を落ち着かせようと自身の肩を掴む叔父の手を優しく掴もうとしたが、勢い良く揺らす為に掴めなかった。それどころか、叔父は更に激しく取り乱した。  「何するんだ! これはぼっちゃんの為なんだ!!!!!」  「ちょっ、落ち着いてください!」
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