tear

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猛の家は2階建ての一軒家。 一階にリビングとキッチンがあり、二階は2部屋。 その内の一部屋が猛の部屋だ、猛の家に着くと僕は何を話していいか解らずただ黙っていた。なんと言っても久しぶりの友達と呼べる子の家に来たから・・・ すると 「ねぇ!ゲーム好き?」 と言われ僕は好きだよと答えた、彼は沢山ゲームを持っていて凄く羨ましかったのを良く覚えている。 その日は、一日中ゲームをして久しぶりに心から楽しめる時間を過ごした。 その日を境に猛と友達になり年が明けた頃から僕は猛の家に入り浸るようになっていた。そのせいか二人で学校に行こうという事になり、俺達は3学期から出席することになった。 久しぶりの学校・・・緊張の中教室に行くとすんなりとクラスの皆が受け入れてくれて僕はホッとした。けどあの悪そうな奴らがと周りを見渡しても彼らの姿は見えなかった。 後で聞いた話では、僕が学校に来なくなった後次の標的を見つけイジメた子が実は物凄く強く返り討ちに合い、逆にそれから学校に来れなくなったというから、本当にびっくりした。 いつもの取り巻きの金魚の糞の様な奴らも心を入れ替えたのか余りチョッカイを出してくることは、徐々に少なくなった。 そうこうしている内に、僕は学校に通えることとなり学生として歩き始めることが出来た。 少なくとも学校は好きではないし居心地がいいものではなかったけど、それでも新しい猛の様な友達が更に2人も出来てそれ以来、4人で行動するようになり楽しみが4倍に増えた。 回りからオタク組とまで呼ばれていたが、それでも構わないと思っていた。 2年になると全員が同じクラスになり、先生も苛めを絶対に許さない熱い先生に変わった為俺は更に楽しく学校に通えるようになった。 一つの事を除いては・・・ それは、偶にマンションの下でリュウに会う事だ。 リュウは変わらず、俺に会うと「おはよう」と声を掛けてくれる。 僕は、目を見ることすら出来ず子小声で「おはよう」としか言えないでいた。 そんなギクシャクする日が過ぎ二年の夏休みになった。 夏休みに入ると、毎日の様に猛達と遊び毎日色んな話をしていた。中二になってすこしづつ女性に興味を持って4人でいつもHな話をしていた時。ふと友達の一人カズが 「なあ黒川知ってる?バスケ部の沖島(リュウ)ってエリちゃんに告白されて振ったらしいぞ?あいつ勿体ないよな~」 僕は久しぶりに、リュウの近況を聞いた感じがして少し気持ちがモヤモヤとした。どうでもいいとすら思っていたが、ヤッパリ綺麗になっていくエリちゃんが誰と付き合うのかすごく興味があった。 カズは情報を色々持っている、特に女子に相手にされていないけど気にされていない分カズの側で女子たちが噂話をしているらしくそこから良く情報を流してくれている。 僕はそんな噂話をネタにして4人でよく盛り上がっていたけど、リュウの話だけは盛り上がることが出来なかった。 カズは続ける「そもそもエリちゃんは、沖島が好きでバスケ部にまで入ったんだろ?スゲーモテるよな~」 僕は何となく居てもたってもいられず「今日は帰るわ」と言い残し自宅へ帰った。 何でリュウは付き合わねーんだよ。またアイツのせいで回りになんか言われる。それにいつまでも俺の事なんて構わないでほしい。 暑い日差しが降り注ぐ中、僕は自宅へと急いだ。 8月も後半、特に部活にも入ってない僕は毎日ボーっと自宅で過ごしていた。 ソロソロ宿題でもやらないと、と思ってかばんを開けると筆箱が行方不明。そういえば夏休みになってから一度も筆箱触ってないや。 学校かな・・・ めんどくさいけど取りに行こうかな。 僕は、学校へと自転車で向かった。 辿り着くと体育館から靴の【キュッキュツ】と擦れる音。思わず中を覗くとリュウがバスケをエリちゃんに指導していた。 傍から見ても本当に爽やかで、思わず二人に見とれてしまっていた。 するとエリちゃんが、「今日もありがとリュウのおかげで少しだけ上手くなったかも(笑)」 と凄く嬉しそうに話している。 リュウも「少しだけかよ」と軽くツッコんだりしながらホント楽しそうに、過ごしていた。 もうこの場を去ろうとした時エリちゃんが一言 「私、実はリュウの事好きだけど本当は昔ケイゴ君が好きだった。本当はねこっちの学校に転校が決まった時ケイゴ君に会えるのを楽しみにしてたんだ。」 「けど、正直見た目が思った以上に変わってて、私思わずショックの余り避けてたの。避けてるだけなら未だしも、酷いこと言っちゃって。でも何気にその事後悔してて・・」 とリュウに謎の告白をしていた。 リュウは「知ってたよ、鈴木がケイゴの事好きなの・・」 そのあと間髪入れず「でも、私は今はリュウ君が好き!もしケイゴ君に私がちゃんと謝ってケイゴ君が許してくれたら、私と付き合ってほしい。」 リュウは少し間を置いて「わかった考える」と一言言った。 何だよそれ・・・ 俺をあらためて、振ってサッパリしたらリュウと付き合う。 そういう流れかよ。 悔しかった・・それ以上に吐き気すらしてきた。 もう誰にも会いたくない・・・ 僕は筆箱の事は忘れて、自宅へ帰った。 二学期も始まり、朝は人目を避けて早めに学校へと向かった。エリちゃんに何かを宣告されるのが怖くて僕は会わない様に避けながら生きてきた。 エリちゃんと廊下ですれ違う時も、僕は目をそらし逃げるようになっていた。 そんな2学期も終わりまであと数週間。テストも終わり、成績も何とか【下の下】から【下の上】まで上げることが出来た。やることも無く人目を避けて猛の家に行かなくなり、勉強しかする事が無くなったからだろう。 帰宅すると、久しぶりに猛から「テストも終わったし遊ぼう!」と誘いが・・・ しかしそれがマズかった。うっかり返事をして表にでて1階に着くとそこにはエリちゃんが。 直ぐに引き返そうとしたがその時 「ケイゴくん・・」っと声が。 久しぶりの声に思わず立ち止まってしまった。 「あのね、そのままで良いから聞いて?私ね・・」 僕はその声を遮り「リュウが好きで付き合いたいんだろ?その為に俺に謝罪だろ?いいよそんなことしなくて、勝手に付き合えよ。俺は何とも思ってないからさ!お前ら二人の事なんて!いちいちそんな事で話しかけるなよ!」 僕は顔をクシャクシャにして泣いてるエリちゃんに。 「二度と俺に話しかけるな!」と言い残しそのまま猛の家に行った。 そこで久しぶりに集まった4人の前でこの事をネタにして笑った・・やっている事は最低と分かっていたがそうする事しかできなかった。 その4人は「よくやった!カッコいいぞ!」とほめたたえ。僕の肩をポンポンと叩きながら笑ってくれた。 それがどこか僕を許してくれてるような感じがして少しホッとした。 17時を回って、僕は自宅のマンションに。 もしこのロビーを開けた先に二人が居たら・・僕は少し怖くなり裏口へ回って様子をみた。ロビーには誰も居なくてシーンとしていた。 僕はポストを開けて、新聞を取り先ほどエリちゃんが泣いていた場所を見ると何粒かの涙の跡があった。 僕は急に胸が苦しくなり家に帰り布団に入り込んだ。 それから何事もなく月日が経ち。3学期が始まる・・・・
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