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龍馬の目がまたすっと細くなり、笑顔が消える。話すまで逃がさないと、そう暗に圧を掛けてくる。
「なぜ、俺に訊くんだ?」
「似てるからだって言っただろ?」
「似てねえよ。このもじゃ頭」
悪態を吐くと、龍馬は一瞬きょとんとしたが、やがて大笑いをする。
「もじゃ頭って、久々に言われたなあ」
「おい」
「もうすぐ、長州と薩摩が手を組む」
「!?」
からからと笑っていたかと思うと、急にとんでもない情報をぶち込んできた。しかも本当か嘘か、解らない調子でだ。
「本当だぞ。もうすぐ、あの二つは手を組む。そうなったらどうなるか?負けは決まったようなもんだろ?」
「そんなはずない」
「頭ごなしに否定するタイプじゃないだろ?あ、タイプってのは性格の型みたいなもんだな」
「――」
さらっと英語を混ぜてきて、しかも平然と説明されると、ものすごく馬鹿にされた気がする。歳三はぶん殴ってやろうかと思った。実際、傘を持たない方の手を、力強く握りしめていた。
「なあ。頭のいいあんたなら、この勝負がどうなるかくらい、解ってるだろ?いつまで、古いものに縋り付くんだ?」
「――」
しかし、龍馬がぐいっと顔を近づけてきて、そして、あんまりな言葉を投げかけてきて、殴ることが出来なかった。
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