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ココカラダシテ
タスケテ・・・
ココカラダシテ・・・!
いま、助けるからね。
もう何分になるのだろう。私は祈りの部屋に籠って集中し続けている。
脂汗を垂らしながら、私は祈り、戦っている。
あの子を結界から助け出すために。そして世界を救うために。
タスケテ・・・
ココカラダシテ・・・!
いま頑張ってる。待っててね。必ず助ける!
私は唸るように詠唱し、頑強な結界に直向きに挑み続ける。
なんと手ごわい結界だ。
でも負けるもんか。
タスケテ・・・
ココカラダシテ・・・!
大丈夫、必ず何とかする!
全身に力を込め、集中力を高め、詠唱を続ける。
しかし結界は微かに揺るぐ程度で私を拒み続ける。
これでも勝てないのか。
タスケテ・・・
ココカラダシテ・・・!
くっ・・・・このままでは私が持たない!
仕方ない。こうなったら奥の手だ!
魔法の護符を握りしめ、護符の魔力を自分自身に注ぎ込む。
魔力が私の中に染み込み、勇気と希望が溢れていく。
タスケテ・・・
ココカラダシテ・・・・!
いける! でもまって、何かが足りない!
ごろごろと音を立て、結界崩壊の臨界点が近づく。でも何が足りないんだ?
ふと時計を見やる。14時59分45秒
私の叡智が電撃のごとく煌めく。判った、あとはタイミングだ!
タスケテ・・・
ココカラダシテ・・・!
力を併せて結界を破るよ!
10秒後、タイミングは私に合わせて!
私は秘脱の呪文を詠唱する
ロデク ・ ヤハロデ!
8・・・7・・・6・・・
ロデ・コン!
2・・・・1
μ!
時計の針が3時を指す瞬間、私とあの子は魂を共鳴させた。
結界が爆発音とともに激しく砕け散る
鬼界カルデラの噴火のごとく、あの子は結界から飛びだした。
完璧なるタイミングで魔力を融合させた私たちは、そのまま邪悪の核を貫いた。
視界が白く霞んでいく。
私は心地よい達成感と勝利の解放感に包まれる。
あの子もきっとそうに違いない。
そして、世界は救われた。
川の流れる音と共に、私は祈りの部屋をそっと出る。
その気配に気づいたおかあさんが声をかけてくる。
今日はだいぶ苦戦したね?
うん、まぁ。
私は想いを押し殺した。
私が世界を救った事を、教える必要はない。
知らなければ不安も心配も、おかあさんには訪れない。
いいんだ、それでいいんだ。
私は自分の部屋に戻り、ベットに潜り込む。
心地よい温もりは、疲労困憊の私には優しすぎた。
私は救済された世界の未来に思いをはせながら、まどろみ始めた。
そんな、日曜日のけだるい午後。
。ロデク ヤハロデ ロデ コン μ
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