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「先生。ちょっと待ってください」
相手がクスリと笑う声が聞こえた。
「先生は俺じゃなくて、お前じゃないのか」
「あら、今は私が教えを受けてるのに?」
セレネは声を返し、アレンの肩に触れた。
「修行中は邪魔が入ると彼…凄く不機嫌になるのよ」
囁くように耳打ちすると、いつもの場所で待っててと、
セレネは軽やかにその人影に走り寄った。
―――あの赤毛の魔女か?ゼオルグはなぜ、あんなのに肩を持つのだ。
唐突にポーラの声がよみがえる。
エタ―ナリヤで一番の魔力を持つ、生まれついての天才魔導士。
弟子を取らないはずのゼオルグが唯一、許した赤毛の魔女。
アレンは少し、そんなセレネが羨ましかった。
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