その2。 ワルダクミ

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 時々、とんでもない規模の雪嵐が続けば。 エメラルド色のマントが、千切(ちぎ)れそうにはためく。 防寒マントも吹き飛ばしそうな雪の中で、アレンは微笑(ほほえ)んだ。 きっと父様を助けられる!  雪と風の切れ間をぬって、新雪の中に体を進める。 すぐに小さな体は半分ほど()まり、それでも雪を必死でかき分ける。 吹きつけの雪で、すでに右も左も分からない。 それでも・・それでも・・・。 それでも。 「鉱石…こう‥せき!」 祈るように探す。 小さな手のひらで小さな体全体で、雪の中を掘り進む。凍える体。  いくら基本体力が並の人間離れした獣人族のアレンでも、 この吹雪は危険すぎる。 頭がクラクラする。 冷気に体力を奪われ、凍えた指をすり合わせて息を切らして進む。 道に迷ったかな?セレネが言ってた場所と違うのかな?  ピー――――――!!!!!!!
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