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吹雪を切って吹き抜ける風。大空が吠えぬける。
暴風の様な雪と風に叩かれ、アレンはモロに埋まった。
必死で雪をかき分ける。
「・・プハァー!!」
息が出来る!
ゼイゼイ、言ってる。
新雪に体を長々と伸ばし、這い出た所で気が付いた。
もうちょっとで俺、死ぬとこだった?
頭上を見た。雪と風が叫んでる。
そして見えた。雪鳥だ!
あの時の親だ。
羽ばたく軌跡が吹雪を切り裂いた。
群れ並ぶ雪稜の中の1つへ、向かってゆく。
あそこだ。
そしてアレンはよじ登る、崖越しに見た。
ピーピーピーピー。
赤ちゃんは産まれていた。
でも、生きてるよ。親の3分の1も無い姿。
生きてるよ。白くてかわいい雛。
でも・・でも・・・。
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