その3。 親子

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 足を止めた妻は、ベッド(わき)(ひざ)をついて、 息子を抱く夫が優しくささやく声を聞いた。 「こわくない・・もう怖くないよ」  夫の首筋にキラキラ石が光る。 チェーンにぶら下がった、赤い魔法石の指輪だ。 それを引き抜いて息子の首にかけながら、複数の呪文を 幾重(いくえ)にも重ねる。 石を()(しろ)に幾重の糸を重ね、織り上げる絹の様に。 まるで不安がる息子をいたわるように。 優しい声と仕草であやすように。 そして無条件に愛するように。
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