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とっさに全身で守るように両腕で抱え、くるんと妹を
くっつけたまま、宙返りした。
着地する前に妹はアレンから離れ、二人同時に雪に
埋もれるように顔を出す岩場に着地した。
「あ~あ、またあそこまで持って上がらなくちゃ」
アレンはため息をついた。
卵があった岩棚は、ずっと垂直した雪峰の真上。
ざっと700mはある。
その時。
ピ―ーーーー!!!!!!
耳をつんざく高音。
バサバサと羽音ごと、何かか突っ込んできた。
雪嵐の様に風圧が積雪を舞い上げる。
4m?5m?でっかい鳥だ!
「何してる!このバカチビ共」
舞い上がる雪の中に光る白銀の髪。
かぎ裂きの頬と首の傷。
片腕だけの初老の男。
険しい双眼が双子を睨み、
それを離せ、バカ!と叫んだ。
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