第一話:if it stops snowing

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第一話:if it stops snowing

 昔から冬という季節は好きでも嫌いでもない。寒いのは嫌だけれど、だからといって暑いのも好きじゃない。春が一番好きな季節だという人は多いだろうけれど、私もそれに所属しているのかもしれない。  外は真っ白い世界だけが広がっている。元々雪が多い地域であることが、例年には無い異常気象に拍車をかけているらしい。おかげで二学期終了間際の今日、私の目に映る街並みは、全て画用紙のような白さを目に向けてくるこの銀世界だけだ。こんな中四人そろって帰るのは難しいかもしれないなと、授業を受ける脳の片隅で思った。  私とタツと、美空と優也。この四人でクラス内の一グループになっていて、周りからはクラス内の子から言われた言葉が由来で「社会グループ」と呼ばれている。いや、確かに社会は全員得意ではあるけど、みんな得意な科目が違うから。公民系に至っては、得意な人が誰もいないから。そう言いたいのを我慢して、何とかやってきていた。  今は雪が止んでいるけれど、またいつ降り出すか分からない。空の雲は積乱雲みたいにどす黒くて大きい。私の家は西側だから、学校を出る時間によっては雪に遭わないかもしれないなと、授業中の静寂で寒気しか感じない空間の中、思った。  昔からよく、いろんな人に名前の通りフワフワしてるって言われてきた。私はそれを否定しないし、肯定もしない。人に張られたレッテルなんて、本人の努力次第でどうにかなるものでもないし、そんなんだったら最初から何もせずに放っておけばいいのだと思う。  確かに私自身、周りからの意見に納得しそうなところもある。言われてみればフワフワしてるんじゃないのかなって思うこともあって、周りからの意見っていうのは侮れないなと考えさせられる。  だけど、たまには反論したい。そもそも雪って――。 「でさー、ユキ。タツったら、また課題忘れてんの」 「うるせえなぁ、俺だっていろいろ忙しいんだよ」 「忙しいっつったって、だいたい休みの日は開いてるけどな」 「それはそれで別なんだよ」 「ていうかさ、休みの日さえあれば課題くらいすぐに終わるでしょ?」 「それが終わらないの、タツの頭じゃあね。だって万年卓球に人生かけてるようなやつだもんな?」
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